【ATOM⑬】自立型人型ロボット:アンドロイドの社会との係わり

かえつ有明ブログ

ソニーから新しいaibo(アイボ)の発表がありました。発売は来年1月11日ですが、それに向けての予約は受付開始と同時に完売になったようです。宣伝ビデオで見ただけですが、愛くるしさは申し分なさそうです。高度なAI技術が生かされ、飼い主(?)との日々のコミュニケーションを通して個性を持つようになり、飼い主との絆も育まれ、実際の子犬のように飼い主に寄り添うようになるそうです。育てる喜びを感じられ、愛情を注ぐ対象ともなる自立型ロボットです。愛犬代りの存在として強くアピールできたのでしょう。 

アンドロイドといえばGoogleが開発したスマートフォンやタブレット用のプラットフォームを思い起こす人が多いのではないでしょうか。しかしもう一つ、人造人間あるいは人型ロボットを意味する言葉でもあります。姿・形が人間そっくりな人工生命体といっても良いでしょう。鉄腕アトムはこれに属します。高い知性を持ち、感性豊かで、善悪の判断もできる鉄腕アトムは正に究極のアンドロイドですね。このような人型ロボットが身近な存在になる時代はもう直ぐといって良いでしょう。もちろん、鉄腕アトムのような超高度な知性と機能を望むのは無理ですが、幼児と等価なレベルのものや、一つの領域に特化したスペシャリスト的なロボットは今や射程内にあるといえます。 

自立型ロボットは人間社会の中で“生活”していく過程で成長・変化して行きます。その成長・変化していく機能はAI技術の進歩の賜物であり、従来の機械には無かった優れた側面ですが、成長・変化の方向には注意が必要です。反社会的存在に成長してしまう危険性が現実のこととして考えられるからです。 

アイボの場合を考えてみましょう。どのようなしぐさを好むかは飼い主によって異なります。アイボには飼い主が喜んでいるかどうかを判断できる機能に加え、飼い主が喜ぶ方向へとしぐさや行動パターンを調整する機能もあるようです。結果的には飼い主がアイボを調教したことになりますね。アイボの機能は限られていますから、反社会的存在になることは考えられませんが、近未来の自立型ロボットでは考えねばなりません。 

図に示すように、ある状況下で生身の人間がどう反応したか、種々の状況下での多数の人間の反応パターンを大量に集めたデータベースがあるとしましょう。これを用いて自立型ロボットを一つの人格を有する人型ロボットへと成長させるためのトレーニング(学習)について考えてみます。どういうタイプの人間の反応に近いようにするかは持ち主の意図によることになります。ある状況を設定すれば、それに対するロボットの応答・反応が得られます。それと期待される応答・反応とを比較し、ロボットの応答・反応が期待されるものに近づくように内蔵されているニューラルネットワークを調教していきます。これを何度もくりかえすのが学習と呼ばれるプロセスです。 

人間社会では、ごくごく一部とはいえ、特定の主義や思想を持つように仕向けるために洗脳あるいはマインド・コントロールが行われることがあります。判断を司る脳の調教を目的としているわけです。トレーニング後のロボットの特性もトレーニングに用いるデータとトレーニング法に依存します。日々の日常生活の中でのコミュニケーションを通してトレーニングが進展する場合でも同様で、意図的に一つの方向に向けて学習を進めることは可能です。近未来には意思を持つ自立型ロボットも実現するでしょう。そのようなロボットに対して恣意的に悪意を持ってトレーニングを行えば、その結果は反社会的存在になりかねません。そのようなことが起きないように如何に担保するのかは重要課題です。 

飼い犬の管理責任は飼い主にあることで、犬が人に危害を加えることはほとんど防げているといえますが、これと同じレベルではアンドロイドが反社会的存在になることを防ぐには十分ではないでしょう。ロボット内のハードウエアやオペレーティング・システムレベルでそのようなことが出来ないような構造にし、更に法的規制で防護するなどが考えられますが、これから大きな議論になる課題です。ロボットのインターネットへの接続は必須でしょうから、外部からの悪意ある操作なども考えねばなりません。 

車の自動運転で事故が起きたときの責任の所在はこれからの検討課題になっています。責任を負うのは運転席にいた人なのか(運転席そのものが無くなることもありますね)、車のオーナーなのか(システムを最適に維持する管理責任)、あるいは製造会社なのか(瑕疵ある製品の製造責任)。 

技術の進歩が社会制度まで大きく変えることがここでも垣間見えますね。

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