アクティブラーニングを進めている中で、本校でもルーブリックを使った評価が浸透しつつあります。「評価」というとどうも他人から与えられるものというイメージが強いので、それを「認知」と言い換えている生徒もいるようで、新しい学びが広がっていることを日々実感しています。
これから長い夏休みが始まりますが、生徒の皆さんには、自分の可能性を広げる時間として有効に過ごしてほしいと思っています。
1学期の通知表を手に取ったことでしょう。そこには、先生からの「評価」が表れています。その「評価」を自己の「認知」に変換するために、今回はジョハリの窓という古典的なツールを使って、自分を知るというテーマについて考えていきたいと思います。
自分のことを知るとか、自分の可能性を広げるといっても、そもそも自分とは何かということが分からないことには、知りようがありません。図の第1の領域、つまり「誰でも知っている自分」というのが通常考えられている自分なのでしょう。
しかし、先生や親から指摘されて気づく自分という第2の領域もあります。ルーブリックは、その部分を気づかせてくれる評価基準となるわけです。「そうか、自分には○○な面があったのか、よし頑張ってその部分をもっと伸ばそう」などという反応が出るのは、ルーブリックがよい働きをしたわけです。中には耳の痛い指摘もあるかもしれません。「あなたには○○が足りない」など、スタンダードや理想に照らされて自分に欠けている部分を指摘されるのは、辛いですね。
一方で、第3の領域を意識して、皆が知らない自分を開示していくことも大切です。親や先生がなかなか気づいてくれない自分を主張することです。これについてもルーブリックを活用することができます。「自分には○○な面があるのだけれど、今のルーブリックではそれが評価の対象になっていない。このように変更すれば、そこが評価されるのではないでしょうか」などといった活用法です。これは高度な利用方法ではありますが、自分を相手により良く知ってもらうには大切なことです。
本校ではクリティカルシンキングを通して、この第3の窓がきちんと他者に開かれていくような力を育成することを重視しているわけです。
そして、最後は第4の窓。最終的にはこんな部分が自分にあったのだという自分も他人も気づかない第4の窓を開くことでしょう。この領域を担うのはやはりリベラルアーツだと思います。学びというものの本質はこの領域が開かれていくことにあるのです。
ですから、生徒のみなさんは、この夏休みに古典を読んだり、アートに接したりしてみてください。すぐに役立たなくてもよいのです。やがてそういった体験が第4の窓を開いていくことにつながっていくのです。
本校でも、昨年に引き続きスクールミュージアム、オルセー展を開催します。これまでアートに関心がなかったという生徒にもどんどん来てもらいたいと思っています。何かの気づきにつながっていくかもしれません。8月21日から開催しますのでぜひお立ち寄りください。