今回は少子化社会について考えてみたいと思います。
日本国内においては2030年問題、すなわち超高齢少子化社会が間違いなくやってきます。
現在約1億2800万人いる人口が、2030年には1億1600万人あまりに減少すると言われています。これからの15年でなんと1200万人もの人が減ってしまうのです。15歳~64歳の生産年齢人口は8000万人から6700万人に減るといいます。一方で高齢者の割合は4人に1人から、3人に1人になり、これまで高齢者を2.8人で1人を支えていたのが1.8人で1人を支えなければならなくなるとのことです。
(出典)総務省「国勢調査」及び「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計):出生中位・死亡中位推計」(各年10月1日現在人口)、厚生労働省「人口動態統計」
これは強烈な問題です。わずか15年でこの変化が起こるわけですから。15年はあっという間にやってきますよ。2000年問題で誤作動なんてことを言っていたのはつい最近のような気がしますが、あの頃からすでに15年経過しています。今から15年後には、私自身も生産年齢から高齢ゾーンになっていると考えるとどうも暗くなってしまいますが、子どもたちにとっては実はそうでもないのです。「少子化チャンス」が子どもたちにはあると思っています。
まずは大学受験。現在においても大学受験はピーク時から比べると緩和しています。学年で200万人を超えていた時代と比べれば現在半分強程度です。一方で上位校の定員はそんなに減っていません。つまり、上位校のスペースは大きく空いていて、ある程度の能力と努力があれば到達できるようになったわけです。
それから就職についてもチャンスがあります。生産年齢がこれだけ減少するのですから、門戸は確実に開かれます。
ただし、グローバル化という要因が加わることを考えておく必要があります。製造業が海外に移転して産業の空洞化という言葉がよく言われますが、今や、経理処理やコールセンターなどの仕事まで海外に流れています。この動きは加速されるでしょう。グローバル化によりある業種やポジションは確実に国内から消滅します。
一方で、グローバル化に対応できる人間にはチャンスが増えます。現在グローバル人材ということでイメージされるのは、英語でビジネスができる、英語とエクセルができる、英語で会議ができるといった人材ですが、果たしてそれだけがグローバル化に対応できるということなのかを考えておく必要があります。
英語で会話ができることはもちろん重要ですが、きれいな発音で話せるかどうかよりコミュニケーション能力が重要です。そしてコミュニケーションする相手も、英語ネイティブであるよりは、第二言語として英語を使うアジアの人たちであることが多くなるでしょう。
コミュニケーションで大事なのは相手のバックグランド、つまり文化・風俗・習慣・民族性といったものが分かっているかどうかです。自分のことを相手に知ってもらうにしても、「空気を読んでほしい」では当然通用しません。
グローバル化と並んで考えておくべき要因に、「ネット、ロボット、AI」があります。これもグローバル化に匹敵するほど大きなチャンスであり、大きなピンチでもあります。人間生活をとても快適にするものであると同時に人間の仕事を奪う凶器とも言えるからです。
「与えられた課題をきちんと期限までに仕上げる」ことは日本人が最も得意な能力であるけれど、「ネット、ロボット、AI」の出現はそれだけでは許してくれません。「指示されたことはきちんとやる」という人より「自分はこれができます」と言える人が求められていくのでしょう。
「WHO ARE YOU?」
イギリス人の先生に聞いたところによれば、この問いに答えるのが大人になった証だそうです。自分はいったい何者で、何がしたいのか。まさに、哲学的な問いですが、この問いこそは究極の問いでしょう。この問いを、一人閉じこもって考えるのではなく、他人との関わりの中で追求していくこと。これぞアクティブラーニングの学びです。そうしてその年齢なりに自分の答えを持つこと。その独自性があれば、これからの少子化はまさにチャンスに変わるのだと思います。