【かえつ有明2020】~石川校長のビジョン(5)~アクティブラーニングと知のネットワーク構築(2)~

DATE : 2015/5/19

アクティブラーニング(2)

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アクティブラーニングというのは、従来の授業スタイルを否定するわけではありません。たしかに、先生がただ教科書の解説を板書して、それをただ書き写しているような授業は、思考が停止している状態ですから、これはアクティブラーニングとは呼べない。しかし、例えば歴史でいえば、幕末の歴史を学ぶ際に、ヨーロッパの市民革命との比較をしたり、文化史の観点からまとめ直したりすることは、今の授業スタイルでも十分できることなのであって、これも一種のアクティブラーニングと言ってよいと思います。

この場合大切なことは、断片的な知識を覚えておくことが大事なのではなく、比較対照する観点が大前提となるということです。その観点というのは、諸外国との外交関係から考えることかもしれないし、あるいは経済的な背景から考えることかもしれない。いずれにしても、知識を構造的に再編成していく必要があるわけです。

知識をリンクして、広げていく。そうやって知識のストラクチャーを組み替えていくことがアクティブラーニングなのだと思います。ですから、一杯のコーヒーからでも、その販売経路や、経済の仕組み、現地の産業や気候風土、プランテーション農園を歴史などなど、教科の枠を超えた学習が可能になります。その分、教員の側にそれだけの準備や計画がないと成立しないわけで、ただ生徒と対話をすればよいというものではありません。これはなかなか大変なことです。 

繰り返しますが、アクティブラーニングは教科学習を否定していません。授業スタイルが一方通行であってもアクティブな学びがあり得るでしょう。学び方や授業スタイルの問題なのではなく、知識の使い方・アウトプットの問題なのです。

学びである以上は、目標やゴールがあるのは当然です。その到達の度合いを評価することも必要です。しかし、従来のように、知識をどれだけ覚えているかという意味で評価を考えるのではなく、知識をどのように活用しているかという観点から評価が行われることになります。つまり、評価というのは、アウトプットしたものに対するフィードバック、あるいは対話の拠り所となるのです。

本校が「知のコード」の構築にこだわっているのは、評価する際の基準を明確に意識した上で、次の目標に向かっていくことが大切だと考えているからなのです。

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