【かえつ有明2020】~石川副校長のビジョン(15)~

DATE : 2015/1/31

今回は男女別学について話をします。

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本校は2年前から「共学だけど授業は別学」というキャッチフレーズのもと、共学校の良さを活かしつつ、男子校・女子校の良さもイイトコ取りした制度を採用しています。2年前からとはいっても、実施に至るまでにはそれなりの準備期間がありました。

男女別学のそもそもの発想からお話しましょう。

私は、かつて男子校に勤務していまして、そこが共学に、厳密にいうと、男女別学に変わるのを実際に体験しました。さらに本校では、女子校から共学に変わるところを体験しています。一応男子校・女子校・共学・別学と、すべてのパターンを経験したわけなのです。

 

そんな中で感じたのは、クラスの中で雑談をする時に、同性だけの方が盛り上がるというか、ノリがよくなるなということでした。もちろん男女が一緒にいることで生まれる良さもあるのですが、同性だけだと本音を言いやすい雰囲気が生まれるんですね。

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そこで6年前でしょうか、本校の中高一貫1期生が中3のときに、男女別クラスというのを試験的に実施してみました。すると、生徒からも教員からも結構評判が良かったのです。1期生は、大学合格実績という面からも注目されている学年でしたから、特に学業面での伸びには注目していました。結果的にはその点でも期待を上回るものがあったので、本格的に別学を実施していこうと、そこから準備を開始したわけです。

 

別学を強調すると、どうしても共学であることの前提を否定しているように感じられてしまうかもしれませんが、もちろんそうではありません。私たちの社会が男女で成り立っている以上、男子だけ女子だけという、ある意味で居心地のよい世界にどっぷりと浸かったままでいるのは、決して理想的な状態ではないと思います。その点、すぐそばに異性がいることを意識できる共学は、社会の縮図という点では自然な環境であるでしょう。

 しかし、小学生から中学生になる、男女差を意識する年頃においては、異性の前では、どうしても自分をうまく表現できないといった生徒が多くなってしまうことも事実です。異性の目を気にするということばかりではなく、逆に、異性を気にしていることを同性から見透かされるような気持ちになったりすることもあるかもしれません。

 そういう点では、男女が分かれていた方が、自分を自然に表現できて、自分らしさを形成するのに有効なのではないかと感じるわけです。男女の役割を意識した行動よりも前に、自分らしい行動を優先するので、結果的には女子的な男子とか、男子的な女子とかもキャラクターとして際立ってくる。そのあたりがシングルスクール出身者にユニークな人が多い理由なのではないでしょうか。


勉強面に話を戻しますと、男子と女子では、興味を持つところも、学習のスタイルも少し違っています。それは最終的には個人差ということになるわけですが、男女で傾向の違いがあるというのも、教える側の実感として感じるところです。ですから教え方も男女のクラスで異なるように教員がそれぞれ工夫をしています。

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高校2年生くらいになると、学習面における男女差はかえってよい刺激になってきます。それまでのんびりしていた男子が女子を猛追する段階になるわけです。そういう男子の集中力は、逆に女子をさらなる高みへと向かわせる原動力です。いい意味でライバル関係になっていくのです。

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 このころにはだいぶ自分というものが形成されているので、逆に異性の存在によって、自分のポジショニングを確認することができるのだと思います。そんなわけで高2からの2年間は、別学ではなく共学という段階にしているわけです。

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