【かえつ有明2020】~石川副校長のビジョン(8)~

DATE : 2014/11/3

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    創造性というのは、これまでの日本の教育の中では、本格的に取り組まれてこなかった部分です。創造性は個人の資質であって、教育が扱う領域ではないと敬遠されてきたのかもしれません。

    その原因の一つは、創造性という言葉がしばしば誤解されているからだと思います。どういうことかと言いますと、創造性というのはゼロから何かを生み出すことのように捉えられがちだということです。実際には、ゼロからいきなりすごいものが生まれるわけではなく、既存のパーツを組み合わせることによって、新しいものができあがってくるということの方が多いのではないでしょうか。

    すべてがオリジナリティにあふれているような独創的な作品を作るということなら、そんなことは天才にしかできませんね。しかし、材料や部品の組み合わせを考えてみるということであれば、誰にでもできるし、中学や高校での学びによってその能力を育成するということの意味もあるのだと思います。

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    創造性が様々な組み合わせのバリエーションによって生み出されるものであると考えると、試してみること、チャレンジしてみることが大切になります。仮に失敗してもそこから何かを学ぶことで、その先の発見や成功につながっていきます。もちろんその失敗を活かすには、状況をクリティカルに捉える力、振り返りをすることが前提になりますが、小さな失敗はむしろ数多く経験した方が次の成功のためには有効だと言えるのです。

part8_3.jpg    ですから、教育の場では、失敗を許容できる環境というのはとても大事です。最初から答えが分かっていることだけを生徒に質問して、生徒が間違えたら、それは違う、正解はこちらだよと示すのでは、生徒も、「それなら最初から答えを言ってよ」と反応したくなるのは当然です。

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    いろいろな答えがあり得るようなオープンエンドな問いについて考え、いろいろある中でどの答えがその状況に適切なのかということを検証してみるということが大切です。そういう問いでは教師が「唯一の正しい答え」を持っているわけではないのです。




    創造性ということでもう一つ大切なことは、「心が動く」というところです。ロジカルなだけでは創造性は発揮できず、そこに感性が働くのです。「これは面白そうだ」とか、料理であれば、「このように調味料を混ぜれば美味しそうだ」という感性が働くことで、創造性は発揮されるのです。

    ワクワクする心をどう育てるかということが創造性を育てる鍵とも言えるでしょうね。

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