【かえつ有明2020】 ~石川副校長のビジョン(1)

DATE : 2014/7/31
 今年度かえつ有明は「かえつ2020」という構想を掲げて、東京オリンピック開催年と有明移転15年目という節目の年を重ね合わせた。これまで石川副校長が、説明会等で話をしてきた学校改革の未来ビジョンがここに集約されるのである。その改革のポイントを語っていただいた。

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  2020年の東京オリンピック開催は、日本社会の大きな節目になると同時に、かえつ有明にとっても重要な意味を持つことになります。まず、2020年というのは、かえつが有明の地に移転して15周年を迎え、現在の中学1年生が卒業する年になっています。そのような観点から時代を逆算すると、今の生徒に対する教育のあり方も自ずと従来とは変えていかなければならない。そう思って「かえつ2020」という構想を掲げたわけです。

  おそらくこれからの5~6年というのは、社会が大きく変わってくるでしょう。私たちが経験してきた世の中とは全く異なる、「未知の世の中」が出現してきます。従来は、右肩上がりの世の中の仕組みを前提としていて、私たちは序列の中で自分のポジションをどこかに取ればそれでよかったわけです。世の中全体が拡大していく中で、それなりに努力をしていれば、生活は向上するという価値観が支配してきたと思います。しかし、これからの子どもたちは、そのように組織が大きくなっていくことを前提にすることができません。昔のように選択肢の中から何かを「選ぶ」ことで将来が開かれるのではなく、うちの校歌の歌詞にあるように、「はるかなものにあこがれ」る心が求められているのだと思うのです。ここでの「はるかなもの」というのは何も物理的に遠くにあるということではなく、自分の中にある遠大な目標とでも言うべきものです。

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  受験勉強での偏差値というのは相対的な価値しか与えてくれません。他人と比べて自分がどの位置にいるかという、他人を軸にした評価なんです。これからの世の中は、そのような価値観では進んでいかない。大量消費の規格品を売る時代ではないのです。そういう意味で「未知の世の中」だと申し上げたわけです。

  そうなると教育現場も発想を変える必要があります。私たち自身がゴールイメージを従来とは変えていく必要があるのです。相対的な価値観で右往左往しないよう、生徒が絶対的な軸を持てるように支援していく教育環境が必要です。もちろんその主役は教員ということになりますが、誤解してはならないのは、「教員が絶対」なのではなく、生徒一人一人がそれぞれの価値観が持てるように支援するのだということです。

  よくファシリテーターという言い方をしますが、教師の役割はそのように変化せざるを得ないでしょう。例えば進学先選びということ一つ取っても、ランキング的な発想で選ぶのではなく、生徒が自分を活かせる場所を見つけることを支援できるような指導が望まれます。教師がすべてを知っていて、何もかも与えるなどというのは、土台無理な話ですし、意味のあることではない。教師の役割が変わるはずです。「努力して何かを選ぶ」という発想ではなく、「未知なる世界でどのように道を切り開くのか」という問題設定に応えていく必要が出てくるわけです。
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