文化フェスタが終わってから改めて「プロジェクト」という科目の重要性について考えました。今回は、プロジェクトで大切なことは「ゴール設定」だということについてお話します。
プロジェクトという科目を自分が作ろうと思ったそもそものきっかけというのは、かつて、総合学習や体験学習で言われていた風潮に対して違和感を持ったことです。ご存知のように「ゆとりカリキュラム」の考えのもとで、子どもたちが自分で調べ、話し合いをすることが重視され、テストをせずに、目標をあえて設定しないことがよいと考えられていました。
実は、戦後の日本でも一度総合学習のようなものが導入されています。商店街なら商店街に行って、レポートをまとめるといった学習が奨励されていた時期があるのですね。ところが、それは「這い回る経験主義」として結局批判を浴びることになります。這い回っているだけで、子どもたちの力を本当に伸ばしていないというわけです。
子どもたちが主体的に何かを調べようとすること自体は悪いことではありませんが、総合学習や体験学習は、ともすると調べただけで終わってしまい、面白かったけど何も残らないといった事態に陥りがちです。
それに対して「プロジェクト」というのは、元々の言葉の意味からして、ゴールを想定するものです。そしてゴールがあるからこそ力が発揮されるという考えに基づいています。もちろんこの場合のゴールというのは数値目標のようなものではありません。そして、ゴールは先生が設定して与える場合もあれば、子どもたちが自分で考える場合もあるのです。
先生がゴールを設定する場合、生徒たちはそのゴールに向かってどうすれば達成できそうかということに頭を使います。一方で、大きな命題が与えられた中で、生徒たちが自分たちなりのゴールを設定しようという考え方もあります。
ゴールを設定する際には、メンバーが色々な意見を出し合えるということが大事です。異なる意見をどうチームの中に取り込むかということがプロジェクトの成否のポイントになると言ってよいでしょう。実社会でも、プロジェクトというのは、常に同じ仲間が何かをやるというのではなく、その都度メンバーが変わるという点に特徴がありますね。そこでは多様な意見を採り入れながら進めることが必要になってきます。
そういう意味で、メンバーの心が開いていることは非常に重要です。意見を言うばかりでなく、意見を聞く姿勢なども大事になってくるわけです。そういう相互の信頼関係があってこそ、ゴール達成のための論理的思考や問題解決能力が発揮されるということが言えると思います。
新しい形の消しゴムを創る。(株)コクヨさんと