【かえつ有明2020】~石川校長のビジョン(26)~グローバル時代の社会性

DATE : 2015/11/18

学校は、教科の学習以外にも様々なことを学ぶ場です。子どもの年齢が低いほどその影響は体に染み込んでいきます。いわゆる社会性を身につけるのは、何も道徳の時間だけではなく、ホームルームや行事、休み時間など、あらゆる要素が子どもたちの人格形成に関わってきます。ですから、学校教育の役割の一つとして、社会性を身につけることが挙げられることがあるのですね。 

ところで、そこで言う社会性ってどういうものなのでしょうか。日本の社会と西洋社会とでは、求められる能力が少し異なっているように思えます。日本では儒教的な影響からか、「長幼の序」のようなものを身につけることも求められる社会性の一つになっているかもしれません。先輩・後輩の関係を重視する態度などは、学校で身につけている部分が大きいですね。

藩校 

しかし、今後グローバル化が進むと、求められる社会性も変わってくる可能性があります。全体の調和を第一優先に考えて、そこから個人を規定するような「社会性」ばかりでなく、個人の権利から発想して、お互いの権利が衝突した際の折り合いの仕方を「社会性」と考える場合も出てくるのではないでしょうか。どちらが良いとか優れているとかという話ではなく、学校で身につける社会性というものに、我々教える側は自覚的である必要があると思うのです。 

要するに、社会性という概念も、時代や場所によって異なってくるものだということです。社会の多様性を一方で主張しながら、もう一方で画一的な社会性を生徒に押し付けようとしていては自己矛盾ですね。 

もちろん、こういった社会性は学校だけで身につくものではなく、家庭やマスメディアなど、子どもたちを取り囲むすべての要因が影響を与えるわけですが、学校という場は、そういった影響をクリティカルに見る方法を提示する場でもあると言えるのではないでしょうか。 

私たち教員は、知らず知らずのうちに、生徒に従来のルールを押し付けていないかどうか、セルフチェックが必要だなと思って今回はこんなテーマを取り上げてみました。

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