【かえつ有明2020】~石川校長のビジョン(32)~サイエンスとプロジェクト(2)~

DATE : 2016/1/1

皆様、明けましておめでとうございます。昨年4月の校長就任以来、21世紀にふさわしい教育を定着させるべく、教職員全員一丸となって学校改革に取り組んでまいりました。おかげさまで、今話題のアクティブラーニングなどの取り組みなどが様々なメディアから注目を集めてきました。2016年を迎えるにあたり、改めて本校で実践する教育内容、そして発信する教育情報の責任の重さを感じています。これまで以上に努力を重ね、子ども達の未来の創造に貢献していく所存です。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

かえつ有明中学・高等学校校長  石川一郎

 

サイエンスとプロジェクト(2)

 プロジェクトについて

 サイエンスに続いて、プロジェクトについてお話しましょう。プロジェクトを図式化して示すなら次のようになります。

     「世の中の学び」―「学校教育」=「プロジェクト」

 毎日の暮らしの中で、私たちは色々なことを考えて過ごしています。例えば、今晩のご飯は何を作ろうかということもそんなことの一つです。そういうとき、家族の好き嫌いや、最近の献立を思い浮かべ、自分のレパートリーから何か選ぼうかと考えることでしょう。あるいは新しい料理に挑戦するかもしれません。

 こんなこと一つとっても世の中はすべてプロジェクトベースで動いているわけです。多くの場合、一人ではなく、誰かと協力しながら物事を進めています。そして、正解は一つではありません。一つではないけれども、うまくいったとかいかなかったという結論があるわけで、その判断をもとにまた先へと進んでいきます。

 しかし、こういった学びは従来の学校教育にはなかった部分です。それは、知識よりも高次思考が必要となる学びだからです。高次思考をどのように評価するのかという問題をクリアしないと、こういう学びはできないのです。本校では、知のコードをもとにプロセスを評価するルーブリックを開発して、入試でも難関思考力テストという新しい試みをしていますが、プロジェクトでは、高次思考の中でも特にレベル5とレベル6、批判的思考と創造的思考を育成しています。

 批判的思考とはクリティカルシンキングのことで、創造的思考をする際には、このクリティカルな視点が必要になります。創造的思考というのは、ぽっと思いつくひらめきを指すものであるというより、むしろ従来とは異なる物の見方や、異なる組み合わせをすることで、新しい見方を切り開いていくものなのです。

 前回お話したサイエンス科は、主に論理的思考から批判的思考を意識したプログラムであるのに対し、プロジェクトでは、批判的思考から創造的思考を意識したものとなっています。

 念の為に付け加えるならば、高次思考をするから知識は不要かというと、そういうことではありません。知識を活用するのが高次思考であるので、知識がなければ高次思考はできないのです。ただ、知識の多寡で序列をつけるような時代ではないということです。その部分は、コンピューターやAI(人工知能)がやってくれるわけですから、人間はそれをどう活用するかという方向にシフトしていく必要があるわけです。

 今後は、会議資料くらいのものは、AIが作りだすようになるのではないでしょうか。人間はどんどん創造的思考で文章を生み出すことが要求されるようになるでしょう。そんなときにプロジェクトでの学びが必要になってくるわけです。

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