受験生の保護者に向けて ― 説教は短く済ませましょう!
中学入試の時期が近づいてきましたから、今回は受験生の保護者に向けてメッセージを送りたいと思います。
受験間際になって、いよいよラストスパートとばかり、勉強に打ち込んでいる子どもであれば、とにかく風邪を引かずに受験当日を迎えてほしいということくらいしか心配はないかもしれませんが、なかにはこの時期になっても、スパートどころか、子どもの生活習慣がなっていないと感じている親御さんもいることでしょう。そんなとき、ついつい子どもを怒ってしまい、さらにねちねちと言い過ぎることを後悔することもあるのではないでしょうか。
子どもとはいえ、12歳にもなれば話が分からないということはないはずです。結局、説教が長くなってしまうのは、親自身の気持ちを子どもにぶつけているだけなのですね。態度が素直ではないとか、返事だけで行動が伴っていないということに対して怒るのだと思います。
「それではダメでしょう」というメッセージであれば3秒もあれば事足りるわけです。それが何分も、あるいは何十分も怒っているというのは、子どもの反省している様子を確認してスッキリしたいとか、あるいは自分の怒りの納めどころがわからないまま、引くに引けなくなったということがあるのではないでしょうか。
このようなことは、親に限らず教育現場でもよくあることで、教員もやってしまいがちです。謝るというのは、なかなか難しいことで、大人だってそうそう簡単にできることではないことは身の回りをちょっと見てみれば分かります。ましてや親子の関係で子どもが素直に反省して、親が満足するような態度を即座に取れるかと言うと、そんなことはあり得ません。反省したことが態度になって表れるのは、タイムラグもあるし、気分によるムラも関係します。場合によっては何年もかかることなのです。
感情的に怒って、その後理詰めで責めてしまうことが最悪です。「お前のために言っているのだ」といった論法ですね。そういう大事なことは冷静なときにきちんと伝えるべきであって、説教のついでに言うものではありません。
伝えることと怒ることは違います。大切なことは伝えなくてはいけませんが、怒って伝えるのでは、効果が半減するどころか、逆効果になってしまうかもしれません。そこは本校の校訓である「怒るな働け」の精神を発揮していただくことです。「働け」というのは、受験生の親であれば、例えば美味しいものを食べさせてあげるといったことなのでしょう。
誰しもカッとしてしまうことはあります。それを抑えるのは難しい。でも、それを短く済ますことはできるはずです。ムカムカした気持ちでいるよりも美味しいものを食べてゆっくりしましょう。
説教して受験がうまく行くという話は聞いたことがありません。小さなことで一喜一憂せず、ぜひ長い目で子どもを見てあげてください。ま、こう語っている私自身もいまだにこの件では失敗ばかりですが(笑)。
子どもと一緒に、この受験というイベントを大切な思い出にしてほしいと思う次第です。
帰国入試出願の様子