【かえつ有明2020】~石川校長のビジョン(34)~道徳や価値観をどう教えるか~

DATE : 2016/1/12

お正月に、道徳に関して書かれている北野武さんの本を読んでいて、共鳴した部分があったので、今回は、道徳が時代とともに変わるということについてお話したいと思います。かつて女性は男性を立て、自分はあまり目立たないでいることが奨励されていた時代がありました。このような考え方が今の時代に合わないように、私たち教員は、今の時代の価値観もまた絶対的なものではないということを意識しておくことが大事だと思うのです。 

なにも道徳や価値観を教えてはいけないということを言っているのではなく、絶対に正しいという思いこみを持たないことが肝要です。例えば、人の言うことに従い、従順に生きることが美徳とされてきた時代があり、今もそれは決して悪い考えだとは言えませんが、21世紀の社会は、言われた通りのことを正確にできるだけでは、どんどん仕事を奪われる時代になっています。 

つまり、私たちは、ある価値観を子どもたちに押し付けることが、むしろ彼らの可能性を狭めることになるかもしれないということに自覚的である必要があると思うのです。これは特に教員という職に就いている人間にとっては大事なことで、私とて例外ではありません。 

そもそも、教員がすべての生徒に完全な存在であることはできないし、その必要もありません。子どもたちにとって、合う先生と合わない先生がいるのは当然のことです。教員が自分の考えを述べるのは悪くないし、道徳以外の教科にしても、ある意味でそこには価値観が反映されていると思うのです。完全に中立な知識というのはあり得ない。 

大切なことは、教員が生徒のゴールを設定して押し付けるのではなく、生徒たち自身が自分でそれを見出していけるようにすることだと思うのです。 

学校の優等生が社会に出て活躍するとは限らないと北野さんの著作に書かれていましたが、それはなぜかと言えば、自分のしたいことにこだわり、自分の価値観を磨くかどうか、自分軸を出せるかどうかが社会で問われているからなのでしょう。 

これからの社会はますます変化のスピードが速い世界になると言われています。凝り固まった道徳や価値観で動きが取れなくなるよりも、柔軟に対応できる構えを与えてあげることが大事なのではないでしょうか。

中学校/表1-4
中学校/表紙
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