先日、難関思考力入試が実施されました。この入試は、この1年間、教員チームが自分たちで研修を行いながら、問題作成や運営のプランをしてきたもので、一人ひとりの答案だけを見るのではなく、チームで協同するプロセスを見ようとするものです。「プロセス重視」というのが、今までにない画期的な入試であると言われています。
もう一つ私が感銘を受けたのは、「知のコードプロジェクト」リーダーの篠原先生が「このテストは可能性を見つける入試です」と高らかに宣言していたことです。
これまでのテストというのは、自分が学習した知識や技能がどれくらい定着したのかという側面を重視してきました。しかし、難関思考力テストでは、これまでの知識や技能ばかりではなく、子どもたちの可能性を見ていこうとするものであるわけです。もしかしたら本人も気づいていないかもしれない可能性を見出そうというのが、これまでのテストの発想とは大きく異なる点です。
今、アクティブラーニングというのが大流行りで、どこでも子どもたちが主体的に学ぶという方向性を打ち出していますが、授業の転換以上に大切なのはテストや評価です。学校教育の中で生徒も教員も縛られているのがテストなので、そこを変えていくことが必要なのです。
本校では、そこを探求していった結果、「知のコード」という評価の大元となる基準を作りました。その成果物として難関思考力テストができたわけです。ですから、授業とテストと評価が「知のコード」という基準に結び付く形で一貫した流れとなるのです。
これまでの知識偏重型入試がなぜ問題かというと、根本的にはこれからの時代を生きていく上で必要となるスキルが提供されないからです。これからの社会では、答えはないけれど、自分でその答えを見出していくという姿勢がこれまでよりも大切になっていきます。新しい技術や考えがあっという間に広がっていきますから、学生時代に学んだ知識を覚えているだけでは対応できなくなるわけです。
では、未来の学力とはどういうものなのでしょうか。それは、自分の意見を述べること、そして、根拠を挙げて人を説得していくスキルが根底に据えられるのだと思います。そればかりではありません。人の意見を聞くということもとても大切なスキルとなります。要するに、チームで協同してより良い答えを創り出していくということなのです。
今回の難関思考力テストでは、初めて会った子どもたち同士がそれを行ったわけです。グループの中で自然に拍手が起こるような場面もありました。学びというのは、本来楽しいことなのです。みんなで何かを創 り出していこうとすることこそが本当の学びですし、それを評価するテストができないといけないと思っています。そういう入試を今回実施できたということは本校にとっても非常に有益なことなのです。