「あなたは誰ですか?」
この哲学的な「問い」を本日卒業する皆さんに送りたいと思います。
「石川一郎です」と、名前を答えることが真っ先に思い浮かぶかもしれません。
「かえつ有明の校長です」とか「21世紀型教育にこだわっている教員です」といった答えもあります。
こんな風に、所属する所や自分がこだわっていることがすべて答えになり得るわけですが、どの部分を自分らしさとして表現するのかが「あなたは誰ですか」という問いに対する答えなのです。
ですから、この問いに答えることは、おのずと自分がやってきたことや、これからなっていきたい自分と密接に関連します。
今日卒業式を迎える皆さんは、これまで「かえつ有明の〇〇」だったわけです。
そして、「文化祭で活躍した〇君」もいれば、「成績優秀だった〇さん」もいるはずです。
このことはこの先も変わるわけではありません。
しかし、同時に言えることは、未来によって、過去の見え方が変わることもあるのです。
「勉強も部活も目立たなかった」と自分のことを考えている人がいるかもしれません。
しかし、「目立つ」ことや「結果が出ている」ことが果たして大事なのでしょうか。
未来から眺めるとき、過去は違って見えることがあります。
今は気づいていない自分が未来に見出されることもあるのです。
そういう意味で過去もまた変わっていくと言えるのです。
みなさんには、これから長い未来が続いています。本校を卒業し、新しい環境で、新しい仲間に出会うはずです。
そこではまた、異なる自分を発見することでしょう。「自分」は決して固定して不変なものではないのです。
だからこそ、時々自分を見つめてみる必要があるのです。
「あなたは誰ですか」―どこから来て、どこに行きたいのですか。
本日は、かえつ有明中学高等学校の教育活動を陰に陽に支えて下さっている秋場愛彦(後援会会長)本間由美(翠光会会長)岡田眞弓(光風会会長)、更には本学園理事・評議員を始め多数のご来賓のご臨席を賜り、ここに第10回卒業式を卒業生159名の皆さんと共に迎えられますことは、本校にとりましてこの上ない喜びとするところでございます
最後になりましたが、本日お忙しい中ご出席いただいた保護者の皆様方には、改めて厚く御礼申し上げます。
ご卒業おめでとうございます。
平成28年3月1日
かえつ有明中・高等学校 校長 石川一郎