東京大学理Ⅰ・合格インタビュー

DATE : 2016/3/28

石川校長(以下校長):まずは合格おめでとうございます。
湯浅くん(以下湯浅):ありがとうございます。

アメリカとベトナムの思い出

校長:湯浅君は帰国生でしたね。どこに滞在していたのでしたか?

湯浅:アメリカとベトナムです。幼稚園と小学校1年生は、アメリカのニュージャージー州にいました。小1が終わって日本に帰国して、小2のはじめから小4の1学期まで日本の小学校に通い、それから今度はベトナムに行きました。最初は日本人学校に行っていたんですが、後にUNISっていう国連のインター校に通って、中3で日本に帰ってきました。
校長:ベトナムはホーチミン?
湯浅:ハノイです。
校長:ハノイというと、昔の北ベトナムの方か。ハノイの日本人学校って、どのくらいの生徒がいるの?
湯浅:僕が入った時にはそんなには小さくなかったんですけど、だんだん生徒が減っていました。ハノイにもう一つHIS、ハノイインターナショナルスクールというところがあって、そっちに行く人が増えてしまったので。僕が帰るくらいの時には1学年が10人とか15人くらいの人数になっていました。
校長:幼いころに暮らしていたニュージャージーでのことは覚えてる?
湯浅:ちょっとは覚えてます。家の周りの風景がのどかというか平和というか。坂が結構あったり、近くの公園にリスがいたり。
校長:いい雰囲気だよね。良きアメリカの風景というか。あの辺りはクリスマスの飾りが有名だったので、僕もニューヨークに住んでいた頃によく見に行ったりしてたよ。もう30年も40年も前のことだけどね。
湯浅:そういえばよくやってました。近くにもハロウィンのときすごい飾りをしている家がありました。
校長:印象に残っているのはやっぱりベトナムの方なのかな。
湯浅:そうですね。ベトナムにいた頃は、アジア近辺の国によく旅行に行ったのを覚えています。カンボジアとかシンガポールとかタイとか・・・。アンコールワットはとにかく大きくて、あと夕日が綺麗だったことが印象に残っています。
校長:なるほど。現地での生活で印象深かったこともある?
湯浅:タクシーをよく使ったことですかね。向こうはタクシーがすごく安いので基本的に移動手段はタクシーなんです。ベトナムは免許を取るのが難しく、しかも車にかかる税金がやたらと高いので、車を持っている人ってほとんどいないんです。ですので、タクシーは交通手段として普通に使っていました。英語では行先が伝わりにくかったりしたので、自分の家の住所をベトナム語で覚えて、それを言っていました。
校長:ベトナムだとバイクも多いのかな。
湯浅:バイクはすごく多かったです。バイクだけで渋滞するほどです。驚くのは3人乗りとか4人乗りとかを普通にしてますね(笑)たまに一家全員で乗ってたりとか。すごいなと思ってました(笑)あれだけ危ないところをよく車で運転できるなと思ってました。
校長:クラクションを必ず鳴らしてね(笑)
湯浅:日本人学校の社会科見学でベトナムのトヨタに行ったんですけど、そのときにクラクションに気を遣っているというのは聞きました。そこが日本と違うところで、クラクションがちゃんと鳴るかとかを重点的にチェックするみたいです。
校長:インターナショナルスクールはどんな感じでしたか?小学校低学年のころの英語はまだ覚えていたの?
湯浅:そうですね。その頃のやつでそのままなんとか・・・。幼稚園の頃にしゃべっていた英語は自分なりに自信があって、ほぼネイティブみたいに話せてるかなと思っていたのですが、日本に帰った後ベトナムに行ってインター校で自分が話しているのを録音してみたら、覚えていたよりも日本寄りというか、発音があまり良くなくなっていて焦ったりはしました。
校長:印象に残る授業とかはあった?
湯浅:ヒューマニティーズっていう社会なんですけど、日本の社会の授業とは違って、考えることがメインだったのでだいぶ違うなと思いました。あとは、ランゲージアーツですね。英語と第二言語のフランス語をやっていました。 

かえつ有明に編入した時のこと

校長:湯浅君は中3で編入してきたんだよね。
湯浅:はい。二学期です。
校長:中3のその時期に入ってくるとなると、ある程度クラスが出来上がっているところに入ってくることになるよね。そういう大変さはなかったの?
湯浅:ありましたね。転校生だから一応みんな興味は持ってくれるんですけど、話が合う人じゃないと最初仲良くなるのは難しいので、そういう人を見つけるのは少し大変でした。でも、クラスの雰囲気はかなりウェルカムで、日本の学校にあるかもしれない冷たさは全然なかったです。価値観の違いを排除しないクラスだったので、楽しかったです。
校長:かえつに入ってみて、インター校とかえつの教育とで繋がっていた部分などはありましたか?それとも全く違うものだった?
湯浅:ランゲージアーツの授業とか、帰国生クラスで考えたり議論したりするところは割と近いなと思いました。でも哲学の授業はインター校ではやったことがなかったので、それは新鮮でした。
校長:アレックス先生のTOKだね。哲学の問いというのは強烈だよね。以前にアレックス先生と話をしていたとき、「哲学における究極の問いは『Who are you?』ではないか」と聞いて、それが凄く印象に残っているのですが、そんな感じの授業だったのかな。
湯浅:そうですね。そういう問いもあったように思います。そういえば、卒業式の校長先生の話も「あなたは誰ですか」でしたね。
校長:そうなんですよ。その時の話にヒントをもらって、卒業の時に究極の問いをプレゼントしたいなと思ったのです。
湯浅:なるほど。確かに考えさせられる感じの、今までに聞いたことのない話でした。終わった後、結構みんな話題にしていました(笑) 

受験勉強と入試本番の時について 

校長:湯浅君は理Ⅰに合格したわけだけど、理系を選んだのはどうしてだったのかな?
湯浅:興味を持ったのが電子系とかパソコンだったというのと、社会系の歴史とかにあまり興味が持てなかったので理系がいいかなと思いました。
校長:特にどんな分野に興味がある?
湯浅:ゲームの開発ですね。ストーリーが結構考え込まれていたり、自分で主人公を動かしながら、同時に自分が中に入りこんでストーリーを進められるというのは面白いですね。そういうのを考えられる人ってすごいなって思います。日本に帰ってきてから軽いものですけど小説も読んだりして、結構そういうものが好きなのかなと思います。
校長:意外とランゲージアーツでの学びとかが影響しているのかな。
湯浅:そうですね。例えばフランス語の授業などでは、ペアになって、ある設定を作って会話をしたり、そのための台本を作って発表したりとかしましたから、そういうことが関係しているのかもしれません。
校長:言葉だけでなく、絵を描いたり体でドラマを演じたりするのも大事な表現だからね。インター校ではドラマを重視するよね。高2高3の授業とかで印象に残ったものは何かありましたか?
湯浅:数学とか物理とかは普通に授業を受けていればできるようになったし、英語も英語力が損なわれないような授業になっていて楽しかったですね。高3になってからの山田先生の授業では、入試に出そうな話題とかをピックアップしてくれて、やりやすくなったことを覚えています。
校長:そういうところで基礎学力はついていったんだね。受験勉強の大変さはあったの?
湯浅:僕は予備校に行っていなくて、基本的には学校での講習と自主勉強でした。
校長:学校の講習は結構受けてたの?
湯浅:受けるべき教科はほぼ受講していました。
校長:そこで勉強してあとは自習してって感じで、安上がりで済んだね(笑)
湯浅:そうですね、予備校に行く余計なお金は使わずに済んだので(笑)
校長:時間はどうだった?学習時間は結構とったのかな?
湯浅:正直言うとさぼり癖もあったかなと思います。講習にはちゃんと出ていましたけど・・・。学校の授業と講習をしっかりやって、あとは疲れちゃって・・・みたいなことはあったかもしれないです。
校長:数学とか物理も好きなの?
湯浅:物理はまあ好きな方かもしれないけど数学はそれほど好きではないですね(笑)
校長:東大の場合、進学振り分けによって学部を選ぶわけでしょう。そのときにはやはり工学部に行ってゲームとかを開発する方向を考えているのかな?
湯浅:そうですね、多分工学部に行くと思いますが、将来やりたいことはまだ決まっていなくて、とりあえず大学に行ってやりたいことを見つけられたらなと思うんですけど。
校長:問題を解いた後の感触はどうだったのかな。合格すると思った?
湯浅:出来た感触は多少あったんですけど、合格するかどうかは半々っていう感じでした。数学は3完(大問6個のうち3つを正解)したかなという感じで、3問解いてあとちょこちょこやっていたら時間になってしまいました。
校長:あと理科は?
湯浅:理科は時間がないのでとにかく急いでやりました。
校長:国語もあるよね?
湯浅:国語はどちらかというと得点源だったかもしれないです。国語は講習を受けたりしていたらできるようになってきてたので。レベル的に言ったら理科が高くてそれに比べると国語はそれほどでもないのかなって感じだったので。僕は現代文が多分出来たので、あと、古典はやることやったらできるじゃないですか。だから国語で点数を稼いだと思います。
校長:現代文は得意なんだ?
湯浅:多分。コツとかは先生に教えてもらって、文章にマーキングとかしたりして、そういうのをやるようになってから結構できるようになってきました。
校長:なるほど。よく頑張ったよね。本当におめでとう。
湯浅:ありがとうございます。

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