ATOMの右腕が完成しました。ようやく、といって良いでしょう。物差しと一緒に写真で示します。物差しの目盛りは写真からはほぼ判別不能ですが、15cmの物差しですので、腕の長さは20cmもありません。生後半年位の赤ちゃんの腕の大きさといったところでしょうか。実際に動くのは肩と肘の2箇所であり、肩は二軸の回転が可能です。
それぞれの関節には小型のDCサーボモータが使われています。写真の右端の黒い直方体が上腕を体に対して前後方向へ回転させるモータです。DCモータとは直流(direct current)で動くモータという意味です。交流(alternating current)で動くものはACモータと呼ばれます。サーボ(servo)とは、英語で言えばservant やslaveを意味するラテン語が語源となった言葉であり、物体の位置、方位、姿勢などの目標値を指定すると、素早く正確にその値になるように制御する仕組みをサーボ機構、そのような制御機構を内蔵したモータがサーボモータです。これを使えば、肘の関節角度を90度に、と肘の部分のサーボモータに指令を出せば、肘を素早く直角に曲げて止めることができます。
サーボモータの概念図を示しました。モータの回転軸の状態を検知するセンサが必須です。目標値(角度としましょう)を与えると、現在のモータの回転軸の角度(角度センサの出力)と比較し、差があれば(これを制御誤差といいます)それを小さくする方向にモータを回転させます。もちろん、制御誤差の正負によって時計回りか反時計回りかを判別することも必要です。制御誤差が0になったときに回転を止めれば、モータの回転軸は目標値に一致することになりますね。目標値を連続的に変えた場合には、制御誤差が常に0になるようにモータが回転するので、モータの軸は目標通りに連続的に変化することになります。これがサーボ機構の基本的な概念になります。実際には、各機構部分の運動特性を考慮した複雑な制御が必要になりますが、その理論には立ち入らないことにいたしましょう。
モータは色々なところに使われています。見えないことが多く、例えば今の先端的な車には100個以上のモータが使われているものもあります。電気自動車になれば、各車輪はモータで直接駆動されるなど、その数はもっと増えるでしょう。モータそのものは古い機械ですが、進化はたゆみなく、縁の下の力持ちとして、これからの我々の生活をより快適にするのに大きな役割を果たしていくことでしょう。進化するモータですね。(ちなみに、かえつ有明中高のスローガンは「進化するかえつ」です。)