過日、新座市にある紅葉の名所平林寺に行ってきました。平林寺の紅葉は期待に違わず見事なものであり、深まる秋を楽しむことができました。
平林寺の境内は広く、武蔵野の風情をしっかりと留めています。自然林としての価値は高く、その植生を永く保存するために国の天然記念物に指定されています。雑木林としては国内唯一の天然記念物指定だそうです。将軍家光に仕え、島原の乱を平定したことなど幾つもの功績で老中となった松平信綱の墓がここにあります。学生時代に一度訪れたはずなのですが、残念ながらそのときの平林寺の記憶は蘇りませんでした。
旧東海道を歩くようになってから、路上のマンホールの蓋に自然に目が行くようになっています。もはや習性と言って良いかも知れません。マンホールの蓋にはそれぞれの地域を代表するものが魅力的にデザインされている(まさにアートです)ものが多く、その自治体が何を“売り”にしているかが一目で分かるからです。今では歩くときの楽しみの一つになっています。新座市のそれはやはり“もみじ”でした。
しかし、まさか路上のアトムに出会うとは想像もしていませんでした。平林寺近くの道を歩いていたときに、習性からか、ご覧のようなアトムが描かれた路面ステッカーを目敏く見付けたのです。「アトムが何故ここに?」との疑問が沸いてきました。平林寺の紅葉を楽しんだ後に、遅い昼食のために近くの手打ちうどんのお店に立ち寄ったのですが、その店頭でまたもやアトムに出会ったのです。
うどん屋のご主人にいろいろなところにアトムが掲げられている理由を聞き、帰宅してからネット上で調べた結果、新座市と鉄腕アトムとは密接な関係にあることが分かりました。アトム生みの親である手塚治虫は天然記念物に指定されている平林寺の森が大好きであったことから、それが見えるところに手塚プロダクションの新座スタジオを置いたのだそうです。そのような縁から、新座市は2003年に鉄腕アトムを新座市の特別市民として住民登録をしたとのこと。2003年は鉄腕アトムが物語の中で生まれた年に当たります。新座駅の発車メロディーはもちろん鉄腕アトムのテーマソングです。人気のキャラクターであるアトムとの縁に基づき、新座市産業観光協会だけでなく市を挙げて積極的にアトムを活用している、という訳です。
思わぬところで鉄腕アトムと新座市との関係を知ることが出来た実り多い一日でした。