昨年春に本校を卒業した学生Oさんから現在アイルランドで勉学に励んでいる様子を伝えていただきました。
Oさんは在学中から、学習に熱心に取り組む生徒で、素晴らしい人格の備わった人でした。
今後の活躍も楽しみです!
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アイルランド留学レポート
早稲田大学 国際教養学部2年(かえつ有明6期生) Oさん
私がアイルランドの首都ダブリンに到着してから1か月が過ぎました。私の通っている早稲田大学国際教養学部では、2年生の夏から1年間の留学が義務付けられています。留学先は人によってさまざまで、より英語を上達させるためにイギリスやアメリカなどの英語圏に行く人もいれば、その他の外国語(スペイン語やフランス語)の習得を意図して英語圏に行かない人、また、純粋にその国の文化に魅力を感じ体験しに行こうと考える人もいます。世界各国、数多くの大学と提携している早稲田大学の留学先リストから各々が目的を果たすために自分の1年間の滞在国を決める際、私はアイルランドのUniversity College Dublin(以下UCD)を選択しました。私は留学先を選ぶうえで特に3つの条件を重視しました。1つ目の条件は「英語圏でありつつ、日本人が比較的少ない国」です。これは自分の英語力のさらなる向上を意図して決めた条件です。確かに同じ留学先に日本人の友達がいるのは安心感もあり楽しいかもしれませんが、1年という短いスパンでの留学生活を最大限有意義にするためには自分から積極的に現地の人と話せる環境がふさわしいと判断したからです。そのため、留学先はこの時点でアイルランド、カナダ、オーストラリアなどに絞っていました。2つ目の条件は「未だに触れたことがなく、歴史的にも魅力がある国」というものです。これは、留学するうえで異なる文化や価値観を持った人たちと接したいという思いがあったからです。国の歴史は少なからず現代の人々の生活様式や価値観にまで影響を与えると私は考えているため、特にアイルランドのように幾度の侵略、支配から独立を経験した国や、カナダのようにヨーロッパからの移民が住み着いた多文化社会は魅力的でした。最後の条件は「質の高い学習が受けられる学校」です。留学をするうえでもちろん異文化体験や交流は大事な目的ですが、いうまでもなく勉強も学生として大事な目的です。早稲田大学では留学先ごとに必要なTOEFLの点数やGPA(大学での成績)が定められています。自分が選ぶことのできる大学の中からさらに大学について調べ、最終的に留学先として決めたのが、私が通うビジネス部門においてはヨーロッパで上位25校に入るUCDです。UCDには他のヨーロッパからの学生も多いため、様々な訛りの英語に触れつつ、いろいろな国についての話も聞くことができ、こちらに来てまだ1ヵ月ですが、充実した留学生活を過ごしています。
アイルランド市街地の風景、写っているお店はTemple Barという有名なパブ
International Society(サークル活動)にて、いろいろな国の人とトランプやゲームをしながら会話を楽しむイベント
私は早稲田大学国際教養学部の中でもPolitical Economy of International Developmentの修了証明を得るための勉強をしているため、UCDでも主な授業は経済関連の授業(ミクロ経済、数量経済、アイルランド経済史)を取っています。また、その他にもアイルランド語入門の授業も興味があり受講しています。アイルランド語は国の第一言語であるにも関わらず今では話せる人が国の過半数にも満たないという少し変わった言語であり、英語とは文構造や発音もかけ離れているのでこの機会に学んでみようと思いました。その他、自学習で現在はファンダメンタル分析、テクニカル分析、簿記やFP(ファイナンシャルプランニング)も勉強しています。UCDでの授業はすべて英語行われるのですが、早稲田大学でも国際教養学部はほぼすべての授業が英語で行われるため、英語での授業に抵抗はありませんでした。日本の大学との大きな違いを挙げるとすると、こちらの授業では毎回授業ごとに、先生がその日に学習した内容の関連記事や文献を生徒に提示してくださり、生徒を自主的に勉強に取り組ませようとする姿勢を強く感じています。それの効果もあり、全体的にこちらの学生の方が勉強により熱心に取り組んでいる印象を受け、日本の大学生の勉強時間が海外の大学生の勉強時間と比べるとかなり少ない、という有名なデータを実際に体感する1ヵ月となりました。その他にもUCDには各分野の勉強に対するサポートセンター(数学サポートセンター、経済サポートセンターなど)が設けられており、生徒の勉強を全面的に支援する施設も整っています。そういう意味でもかなり勉強しやすい環境の大学となっています。
校内の風景、大学がとても広く(端から端まで徒歩40分)、スーパーやレストラン、学生寮もあるため、それだけで一つの町のよう
かえつでの学習は、勉強の基礎的な土台を築き上げるうえでどれも欠かせないものであり、特に役立っているものを挙げるとすると数学、世界史、Philosophy(後で詳しく言及)の3つです。数学(特に関数、微分、データ分析など)は経済を学ぶうえで必要なツールであり、これなしには経済を理解することは難しいです。そのため、経済学を学んでいる私にとって、かえつで最後まで数学を取り続けたことが今まさに活きていると感じています。数学が勉強面で役立っているのに対して、世界史とPhilosophyは私生活、特に人との交流に大きく役立っています。世界史は、細かい知識が直接役に立つというよりは、初めての人との自己紹介で出身地などを聞いた際に、自分がその国の背景知識をなにかしら持っているだけで会話の種になったり、相手の母国の話に興味を持ちやすくなるという点でものすごく重要な役割を果たしています。相手の国について知っていれば知っているほど、自分の質問も深いものになり、会話がより弾みやすくなると感じました。世界史と同様にPhilosophyで培ったものも私にとって大きく役立っています。かえつの帰国生の英語の授業には週2回Philosophyの授業がありました。この授業では毎週様々な哲学的テーマが先生から提示され、そのテーマについてクラスのみんなとディスカッションをするというものでした。今でも印象に残っているテーマに、「伝統は必要か?時間の経過とともに時代に合わないものもある中でそれを続ける意義とは?」といったものや、「人間はすべて利己的であるか?」といったようなものがありました。テーマがかなりオープンなため、この授業では必ず自分と違う意見を持った人が現れたのですが、お互いがそれぞれの意見を発表し尊重しあうことが求められました。留学先で出会う人はみな自分とは違う環境や文化で育ち、物事に対する考え方や価値観も違う人ばかりです。そうした人たちとコミュニケーションをとるうえで必要不可欠なものがPhilosophyの授業で養われた気がします。毎週いろいろな国の人たちとサッカーやフットサル、サークル活動などで出会う中で、気持ちよく会話ができるのは自分と相手がお互いを尊重しあう姿勢を持っているからだと思います。
フェニックス公園(ダブリン)にて、フランス人の友達と地元の観光スポットを見学