新型コロナ・ウィルスの勢いは弱まる気配がありません。幸いにも、かえつ有明中・高等学校に在籍している生徒の皆さんは無事と思われ、安堵しております。一人ひとりが感染しないように細心の注意をしながら生活していくことが新型コロナ・ウィルス感染症の沈静化を早める唯一とも言える手段です。非日常とも言える毎日と思いますが、有意義に過ごして頂きたいと思います。
休校になったのが期末試験直前でもあり、普通の授業はほぼ終了した段階でした。皆さんは期末試験に備え、三学期に履修した内容の復習や応用問題に取り組んできたことと思います。学校にいるときであれば、分からないことを先生に相談して先に進むことは簡単でしたね。今はそうはいかない状況です。この境遇を逆手にとって、生徒それぞれが“主体的に学べる”生徒へと成長する大きな契機になってくれたらと思います。
色々な機会に話したことですが、皆さんが社会人として活躍する頃は科学技術が嘗てないほど急速に進展する時代になります。例えばプログラミングを考えてみましょう。今や小学校でプログラミングを教える時代です。プログラミングのセンスが誰にでも必要な時代になりつつある、ということを意味しています。50年程前は大学の理工系学部の3、4年時に教えていたことです。しかもそれを必要とする人はごく限られた分野の人々だけでした。この間の50年余りの科学技術の進歩が目覚しく、小学校で教える内容にまで大きな影響を及ぼしている、ということです。しかし、それを遥かに凌いだ勢いで科学技術が進展するのがこれからの時代です。皆さんが大学で学んだ専門知識もすぐに陳腐化し、新しい分野を自ら学びつつ仕事をしていく、という時代になります。その時に必要なのが『分からないこと、学ばなければならないことは自発的に習得し応用できるまでに高める力』なのです。
本校の教育で大切にしているものの一つが「学び方を学ぶ」ですね。今は休校中ですが、教科ごとに出された課題に取り組む中で、あるいは自宅での自主的な勉強の過程で理解できないところや疑問に感じるところなどに遭遇するでしょう。あるいは、もっと先のことを知りたい、と思うこともあるはずです。これまでに培ってきた学び方に基づき、さらにその先まで知識や理解度を伸ばすべく、主体的に知の森に分け行って下さい。そして、未知の分野が少しでも開かれてきた時の悦びを是非体験して頂きたいと思います。その時の悦びが必ずや「もっと先に行ってみよう」、という好奇心に火を点けてくれるでしょう。悦びが悦びを生むという好循環が生まれればしめたものです。きっと有意義な“休校期間”となると思います。
中学3年生にとっては良き思い出になるはずの卒業式ですが、新型コロナ・ウィルスの蔓延状況から中止することとなっています。本校としても大変残念かつ申し訳ない気持ちです。特に、他の高等学校へ進学される生徒の皆さんへお別れをする機会が無くなってしまいました。新しい環境で有意義な学園生活を送られることを切に願っております。
では、これからの休校期間および春休み期間を元気に、かつ有意義にお過ごし下さい。4月の新学期に元気な皆さんと再会できることを楽しみにしております。