二学期始業式での校長挨拶を掲載します。
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かえつ有明中・高等学校の生徒の皆さん、おはようございます。
夏休みが終わり、今日から二学期が始まります。元気な皆さんが続々と登校してくる様子を見て、学校はこうでなければ、と強く感じた次第です。
夏の風物詩の一つは花火です。夜空にパーっと花開いたような花火は綺麗ですよね。しかし自分でも驚いているのですが、その花火が私には電子顕微鏡で撮影したコロナウイルスにそっくりに見えるようになってしまいました。これまではそのような連想は無かったのにです。それだけコロナウイルスに悩まされてきた証拠です。今年の春先から新型コロナウイルス感染症の影響で大変な一学期であり、夏休みでしたね。
これからコロナウイルスとの長い付き合いの時代が始まります。With Corona の時代です。感染症が日本のどこかで発覚したとしても、その地域の方全員を一切外出させずに自宅に籠って日常の社会生活をオンラインだけに制限するとすれば、感染の拡大を阻止することは可能です。しかしそれでは社会が成り立ちません。そこで、可能な限りの対策を採りつつ、多少の感染のリスクはあるとしても日常の生活を可能な限り追求しよう、というのがWith Corona の時代と言えます。
本校でもこの考え方に立ち、感染を防止する対策を可能な限りとりつつ、中学校、高等学校としての学びの場の役割をしっかりと果たして行くことに致しました。知らない間に感染し、自覚症状が無い状態でも周囲にコロナウイルスをまき散らしている可能性が誰にでもあるわけです。マスクの着用は当然として、3密を避ける、ということを常に頭に入れ、登下校や学内ではお互いに「うつさない、うつらない」を念頭においた行動をとるようにして下さい。
新型コロナウイルス感染症に感染した方々に対して、周囲の人びとによる心ない誹謗や中傷がなされ、感染者が悩んだり苦しんだりしていることがマスコミに取り上げられていることは皆さんもご存じですね。幸いにも、本校関係者の感染は現時点では皆無です。しかし、自分自身が感染しないように十分に注意していたとしても感染の可能性は誰にでもあるわけです。仮に本校関係者から感染者が出たとしても、その人に対する誹謗・中傷などがあってはなりません。感染した人や症状のある人を責めるのではなく、思いやりの気持ちを持ち、感染した人が早く治るよう励まし、治って戻ってきたときには温かく迎えるようにしましょう。
さて、高校3年生に対してお話したいことがあります。
高校3年生には受験が間近に迫ってきました。コロナウイルスが受験に及ぼす影響は大きく、未だに試験の範囲や試験のやり方なども不確定なところがあり、皆さんは不安な中にあるのではないでしょうか。しかし、それは受験生全員に共通したことです。そのことで悩むよりも気持ちを切り替え、残された期間を試験への備えにしっかりとあてることに集中して頂きたいと思います。少しでも力を増すことが最大の備えです。
誤解を恐れずに申し上げますが、皆さんはある意味で真剣に学び始めてまだ僅かな時間しか経っていないはずです。これから皆さんが老いを迎えるまでの長い期間が学びの期間です。その長い期間における学び方に皆さんの人生が懸かっていると言えます。長期戦であることを覚悟してください。受験はその期間のほんの一時期にすぎません。常に今を大切に、一生懸命に過ごすことこそ重要です。その積み重ねから得られるものは素晴らしいものになるはずであり、それから得られる喜びが、その次のステップへ向けての大きな力になるはずです。頑張ってください。
高校1年と中学1年の新入生の皆さん、ようやくクラスの仲間と過ごす毎日がスタートしますね。既にオンライン授業が中心であった一学期に友達の名前を憶え、そのキャラクターも分かりかけているのかも知れませんが、やはり face-to-face でのコミュニケーションに勝るものはありません。交流を深め、沢山の友達を作り、これからの学校生活を豊かなものにして下さい。
新約聖書マタイ福音書に「叩けよ、さらば開かれん」というイエスの言葉があります。聖書の中では、ひたすら神に祈り、救いを求めれば、神は必ず応えてくれる、という意味ですが、一般的には「積極的に努力すれば必ず目的を達成できる」ということを意味する言葉でもあります。ここで重要なのが“叩く”こと、すなわち自ら進んで行動しチャレンジする精神です。本校が目指す生徒像は主体的に学ぶ生徒です。何事にも自ら叩く生徒に是非ともなって頂きたいと思います。そして、皆さんにとっての未知の門を次々に明け、視野を広げ、多様な見方ができる人間へと成長して行って下さい。学校はそれを側面から強力にサポートして行きます。
話が変わりますが、昨日、女子生徒のスラックス着用に関するお知らせをメールで配信したかと思います。
本校では、健全な教育活動の遂行に支障のない限り、個々の生徒の個性やそれぞれの生徒が持つ多様性を可能な限り受け入れ、生徒が「自分らしくいられる」、「心理的にcomfortableに学校生活を送れる」ことを認めることに努めています。
このことの一環として、第2学期より女子生徒に対して、女子用スラックスを制服アイテムの1つにすることとしました。女子生徒で、スラックスを着用することによって健全かつ快適な学校生活を送ることが可能になる、という事情がある場合は、学級担任に申し出て頂き、問題ない場合には許可します。ただし、現在はデザインや色等について最終的な検討を重ねている段階であり、少し時間が必要な状況です。正式なものが決定し、利用できるようになるまでは、市販の濃いグレーのスラックスを着用していただくことになります。
見慣れないことから、制服ではない服装で登校している、などと誤解したり、それを非難したりすることの無いようにお願いします。今回の制服に関する変更の理由と目的をしっかりと正しく理解し、お互いに快適な学校生活ができるように生徒の皆さんにはお願い致します。
最後に、これからのICT機器を用いた学びについて触れたいと思います。
二学期からは生徒一人一人がICT端末を持参し、授業中にネットワークに接続しながらそれを有効活用する新たな授業形式へと転換をはかることにしました。ネット空間は知識の宝庫であり、それらがネットワークで繋がっています。これらを有効に活用した授業展開を行うことがこれからは当たり前となるでしょう。例えば、授業中に小テストを行うとします。生徒の解答を自動採点し、得点分布をグラフで示す、などというソフトウエアも用意されています。従って、授業中にクラスにおける理解度がどうなのかを瞬時に知ることが出来ることになります。その結果に基づいて、理解不足の部分を補うこともできますし、先生の授業の仕方そのものを改善・向上することにも役立つ訳です。
また、探求の時間においては、生徒それぞれが教科書にはないネット上の知識を探し、お互いにそれらを教えあう、などということも簡単にできることになります。ある意味では教育の革命と言っても良いでしょう。ここには、生徒一人一人の探求心に依存する部分が大きく、探求心が旺盛であてば興味ある分野をどんどん伸ばすことにも大きく寄与するでしょう。全員が主体的に深く学ぶようになれば、それこそかえつはこれまで以上の凄い学びの場へと進化するでしょう。
生徒の皆さん、かえつは皆さんの「やる気」にこれまで以上に応えられる学園へと舵を切りました。教員もこれから日々成長していきます。コロナウイルスも悪いことだけでなく良い点も残してくれた、といって良いでしょう。災い転じて福となす、です。新しい学びを楽しんで下さい。
それでは、With Corona の下、楽しみつつ学び、日々成長して行って下さい。
校長 小畑秀文